宇宙プラズマの計算機実験


私たちの扱っている現象の根底には種々の物理過程が関与しています。その中でも、特に、プラズマ物理学と呼ばれる研究領域と密接な関係があります。プラズマ(電離気体)の振る舞いは、電磁場中の置かれた荷電粒子の運動方程式と電磁場を支配するマックスウェル方程式を連立させれば原理的には解くことができます。その際、多数の荷電粒子の運動の情報から空間の電荷密度や電流密度を求め、マックスウェル方程式に代入してあげます。

実際の現象を記述するにあたって、上で述べた方程式系が厳密に解ければ、もちろん完璧です。しかし、その様な状況は非常に少なく、実際には、適切な仮定や近似を行って、この方程式系を簡単化します。とりわけ、方程式が非線型(未知変数の積が含まれる)なので、それを線型化する手法が有効です。ところが、現象が発達してくると非線型の項がだんだんと大きくなって、その寄与が無視できなくなってきます。従って、線型化された方程式を用いるアプローチは現象の初期発展を考えるのに有効ですが、系の発展をさらに追うには別の方法を用いることになります。

一般的に非線型の段階まで発展する実際の現象を理論的に解明するために、計算機によって、与えられた方程式を数値的解く方法が強力な研究手段として考案され、計算機の性能の向上とともに著しい発展を遂げてきました。この手法のお陰で、今日では、現象の非線型の段階にまで深く立ち入った議論が可能となりました。私たちのグループでは、特に、一つ一つの粒子の運動方程式を解き、同時にマックスウェル方程式を解き進める『粒子シミュレーション』という技法によって宇宙空間のプラズマ現象を理論的に解明する研究を行っています。現在、次の様なテーマについて集中的に取り組んでいます。


1)サブストームに関連した磁気再結合

2)オーロラ加速領域の静電ダブルレイヤー

3)太陽風による惑星イオンのピックアップ

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