学部および大学院で次のような授業を担当しています。


太陽地球系物理学(前期 4409 学部 4 回生対象)

 太陽風と地球磁気圏の構造・性質、両者の相互作用について述べ、それらを考える上で基礎となる無衝突衝撃波および磁気再結合過程についてふれる。また、電離圏の構造やオーロラの発生機構に関連した事柄について解説を行う。さらに、応用として、太陽系内の他の惑星の電磁圏について、最新の成果を紹介しながら講述する。


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観測地球物理学(前期 2405 学部 2 回生対象、4名の教官で分担)

 地球物理学においては、現象を特徴づけるパラメータを観測・記録し、それを解析することによって、実証的に研究を進めるのが基本である。研究対象に応じて、異なる観測手法が用いられるが、斬新な発想に基づく測定器を開発したり、従来の測定器に改良を加え、機器の性能を高めることによって、これまで数多くの重要な発見がなされ、研究が進展してきた。観測を行う際には、誤差がつきものであるが、その評価を行う観点から、測定器の原理を良く知った上で、観測およびデータ解析を実施する必要がある。さらに、新しい測定器を開発するにあたっては、これまでの測定器に関する知識が、その基礎となり、技術的な飛躍を生むきっかけを与えることが期待される。本講義では、地球物理学の分野における測定・観測・記録システムのハードウェアを中心に、基礎的な概念や観測手法の原理・応用などを実例に基づいて解説する。

 今年度は、特に、地上における固体地球物理学的観測、地球大気に関する様々な観測、地球電磁気学的観測に焦点をあてて講義を行う。夏期に集中的に実施される観測地球物理学演習とあわせて受講することを推奨する。


 地球惑星科学課題演習 DB (前期 3466 学部 3 回生対象) 
自然・人工電磁波の観測(ELF/VLF波帯における観測)

 ダイポールアンテナやループアンテナで受けたELF/VLF波帯(周波数 30Hz-30 KHz)の微弱な電磁波を低周波アンプによって増幅し、さらに、その信号をパソコン(PC)の入力として与えて、周波数解析を行なう。雷によって発生したインパルシブな電磁波や商用の電線から放射される電磁ノイズ(ハム)を検出する。(条件が良ければ、自然現象であるツイークやホイスラーが受信されることが期待される。)


地球惑星科学課題演習 DD (後期 3476 学部 3 回生対象) 

 地球・惑星磁気圏の構造、太陽風との相互作用について理解を得るため、つぎのような問題について基礎概念の学習、論文講読、人工衛星・地球上観測データの解析・数値実験。装置の製作・観測などの実習を行う。
(1)太陽風の構造(プラズマの速度、温度、密度および磁場)
(2)電離圏・磁気圏の電流・磁場構造
(3)磁気圏内の波動現象(磁気脈動, Pi2)

 今年度は(1)を担当する。


地球惑星科学課題研究 T1 電磁気圏 (通年 5400 学部 4 回生対象)

 惑星間空間は、太陽から吹き出す希薄な超音速プラズマ流(太陽風)によって満たされている。一方、地球や多くの惑星は、固有の磁場を持っている。その固有磁場と太陽風が相互作用を行う結果、磁気圏と呼ばれる構造が形成される。太陽からの紫外線は超高層大気を電離し、磁気圏と中層・下層大気の間に電離圏を形成する。
 磁気圏は太陽風から質量やエネルギーを取り込み、それを蓄積して解放する変化を繰り返し行っている。また、磁気圏と電磁的に結合した電離圏では、高緯度域おいて、自然の中の大規模な放電現象であるオーロラが出現したり、中・低緯度域においては、密度擾乱が起り激しく変動する現象などがみられる。それらの変動は、プラズマの運動によって引き起こされる電流や、電荷密度分布の変動に起因する電磁場の擾乱を伴う。
 地表で観測される電磁場は、コア内のダイナモ作用による磁場の他、電離圏や磁気圏内の電流・プラズマ波動による電磁場変動を含んでいる。また、火山噴火や地震活動も電磁気的変化を伴う場合がある。さらに、地球内部の電磁気的構造を反映した誘導電流の作る磁場が重要である。
 本課題では、磁気圏内で人工衛星により観測されたプラズマや電磁場のデータ解析、電波を用いた電離層のリモート観測や、地上・海洋底における電磁場観測の実施と取得したデータの解析、数値シミュレーションなどの手法を用いて、上に挙げた電磁気的現象に関わる特定のテーマを決め研究の方法を学ぶとともに、未解明な問題に挑戦する。

今年度の担当テーマ
サブストーム時に形成される磁気圏尾部・磁気中性線の構造


太陽惑星系電磁気学 II, (通年 修士課程大学院生対象)
 太陽風の性質と惑星大気との相互作用・惑星電離圏・磁気圏の構造に関して講述する。当方は、特に、プラズマ粒子の加速過程について、基礎的な概念の説明から始め上記の領域や現象への適用に関して説明を行う。

注)来年度は『太陽惑星系電磁気学 I』を開講


太陽惑星系電磁気学ゼミナール I (通年 修士課程・博士後期課程大学院生対象)
 太陽風および地球・惑星の磁気圏・電離圏についての文献の紹介と、それに基づく討論を行う。


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