サブストーム (Magnetospheric Substorm)
太陽面で発生するフレアーと類似の, 地球磁気圏におけるエネルギー蓄積・解放現象を指します。太陽風中の磁場が南に向くと,
地球磁気圏の東西の境界部分で反太陽方向, 磁気圏の夜中側では地球に向かう対流運動が盛んになりますが、同時に,
地球付近のプラズマシートを流れる西向き電流は, 増大し、また、プラズマシートの境界付近の磁場のエネルギーが増大します。ある時,
未知のきっかけによって, 磁場のエネルギーが粒子の運動エネルギーに変換される過程が進行し始めます。その場所は地球の半径の
30 倍程のプラズマシートを中心とする磁気圏の尾部です。この過程の進む少し前から、付近のプラズマシートは非常に薄くなります。また,
地球に向かって, 加速された電子やイオンが押し寄せるのですが, その際に夜側磁気圏の引き延ばされていた磁場形状が,
本来の磁気双極子的なものに戻ります。プラズマシートを西向きに流れていた電流は,
この時点で, 立体的な電流系を形成します。すなわち, 電流はプラズマシートの西側の部分から磁力線に沿って地球の朝側電離層めがけて流れ,
夜側電離層を通って, 夕方側の電離層から磁力線沿いに西側プラズマシートに流れる電流系が形成されます。
加速された電子やイオンは, 地球を取り巻いて, 環電流を形成します。この電流はプラズマシートに由来する電流と部分的に閉じ,
ちょっと複雑な電流系を構成します。これらの電流系の発達に伴って, オーロラの活動が活発化します。
一方, 地球と反対方向にも加速されたプラズマ粒子が放出されますが、これは温度の高いプラズマの塊でプラズモイドと呼ばれます。プラズモイドは磁気圏尾部を毎秒
500 km 程の速い速度で駆け抜けて、最終的には惑星間空間に流れ出してゆきます。 これら一連の過程,
すなわち, 太陽風エネルギーの取り込み, 蓄積と, その解放の過程が矛盾なく説明されねばなりませんが,
それらと磁場再結合の関連を強く示す証拠が多く挙げられています。また, 磁気嵐時の環電流の発達や極域嵐の発生は磁気圏サブストーム過程が直接の原因であると考えられています。
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