科学衛星『PLANET−B』による火星探査
(準備中)


 火星超高層大気に関する研究を行うために『PLANET−B』と呼ばれる国産の科学衛星が文部省宇宙科学研究所が中心となり、1998年8月に打ち上げられる予定です。火星は地球と異なり惑星の固有磁場が無く、また、仮にあっても、それが非常に微弱なために、太陽風が惑星の大気に直接衝突して、相互作用を行います。太陽風が超音速で流れているために火星でも、上の図にある様に、昼間側では惑星を包む様な形で衝撃波が形成されています。また、夜側では、彗星のように、太陽風によって吹き流された長いプラズマの尾が存在すると考えられています。太陽風の中の磁力線が惑星の電離層に引っかかりますが、周囲の部分は高速な太陽風とともに運動するために、この様な尾が形成されると考えられます。従って、主として、太陽風に起源を持つ磁場によって、地球と類似の磁気圏を形成していると考えられます。もしかすると、地球と同様に磁気圏と電離層を結ぶ電流が流れて、ある種のオーロラが発生している可能性があります。
 われわれの研究グループは、特にこの衝撃波と火星磁気圏尾部の構造および火星のオーロラ電流回路の研究を主目的として、プラズマ電子計測装置(ESA)をPLANET−Bに搭載し観測を行います。現在、エンジニアリング・モデル(EM)による予備的な試験を全て完了し、フライト・モデル(FM)の製作に取りかかっています。また、最終的な計測器の較正実験に向けて準備を進めている所です。

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