磁気圏 (Magnetosphere) 

 太陽からは太陽風と呼ばれる高速のプラズマ流が吹き出していて,その 一方で, 地球は内部の流体核の運動に起因する固有磁場を持っています。太陽風が, この固有磁場をもった地球に吹きつけると, 地球磁場の圧力と太陽風の流れに伴う動的な圧力が釣り合う様な形で境界が作られます。この境界の内側, つまり地球側を磁気圏と呼んでいます。
 昼間側の磁気圏は, 磁場が押し縮められていて, 地球の中心から太陽方向にはかった磁気圏境界面の位置は, 地球半径の 10 倍程です。さらに, 太陽方向に進んでいった部分には太陽風が超音速流であるために, 衝撃波が形成されています。衝撃波面と磁気圏境界面に挟まれた部分をマグネトシース (Magnetosheath) と呼びます。磁気圏の夜側では, 地球に足をもつ磁力線が太陽と反対方向に吹き流されていて, 吹き流された磁気圏の尾の長さは地球半径の数 100 倍あると言われています。磁気圏尾部の磁場は北側では地球に向かい, 南側の領域では反地球方向に向かっています。磁気圏尾部の南北の境はプラズマの圧力が高くなっていてプラズマシート (Plasma Sheet) と呼ばれ, その北側および南側の領域は磁場の圧力が卓越している部分で, ローブ (Lobe) と呼ばれています。磁気圏尾部の断面はおよそ直径が地球半径の 40 倍の円で近似されます。地球に近い領域には, 地球電離層起源 の 1 eV 以下の低エネルギー粒子が占めるプラズマ圏 があります。また, 1 MeV 以上の非常にエネルギーの高い粒子が形成する環状の放射線帯が存在します。磁気圏は太陽風の動圧が増大した時や, 太陽風中の磁場が南向 きの成分を持った時に呼応して活発化して, 磁気嵐や磁気圏サブストームが引き起こされます。 また, 磁気圏の存在は, 固有磁場を持った水星, 木星, 土星, 天王星, 海王星等の地球以外の惑星でも科学衛星による直接探査によって確認されています。そういえば、ごく最近、米国の木星探査機ガリレオが木星の衛星ガニメデに磁気圏を見つけたと報じられました。ややこしいけど、磁気圏の中に磁気圏が見つかったわけです!

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