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研究紹介

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Last updated: 7th February, 1999
文部省宇宙科学研究所による、「のぞみ」公式 HomePage は こちらです。

PLANET-B 雑感

2. 火星延着決定直後編 (7 February 1999)
1. 打上げ直後編 (17 July 1998)

私の研究題目

火星探査機 PLANET-B 搭載用
静電分析器の開発


以下の文章は、打ち上げ前の今年 3 月に書いたものです。

PLANET-B とは、1998 年 7 月に打ち上げが予定されている科学観測用人工衛星の名前であり、 火星 の上層大気から電離層・磁気圏などの精密観測を目的としています。これは 文部省宇宙科学研究所 が中心となって推進してきた意欲的な衛星計画であり、日本初の本格的な惑星周回ミッションでもあります。火星は固有磁場を持たない、あるいは持っていたとしてもそれは極めて弱いものだ、と言われています。ですから火星と太陽風との相互作用は、 GEOTAIL 衛星 などで観測されている地球での場合とは、随分と異なることが期待されます。また実際、過去の科学探査によって得られた観測結果も、そのことを支持するものとなっています。ミッションが成功し各観測装置が順調に稼働すれば、これまでには解明できなかった様々な現象を深く理解できるようになったり、あるいは新たな謎が生み出されたりすることでしょう。それは大きく見れば人類の好奇心を満たすことに貢献し、小さくは宇宙科学の世界における日本の貢献をアピールすることになります。

この科学衛星には、 合計 14 個の観測機器 が搭載されることになっていますが、各機器ともそれぞれの開発チームが最新鋭の装置に仕上げて来ています。その中で、私達の興味の中心である火星プラズマ環境に関連するものとしては、磁場やプラズマ波動の計測装置が搭載されることになっています。そしてプラズマ分布関数の計測装置として、 Ion Spectrum Analyzer (ISA)Electron Spectrum Analyzer (ESA) と呼ばれる 2 台の粒子計測器が搭載されますが、ISA は陽イオンの速度分布を測定し、ESA はその名の示す通り電子の速度分布を計測する科学観測装置です。そして、この 2 つの観測装置を開発することが修士課程以来の の研究テーマであったのでした。また、大学院を出て民間企業に就職した後も、責任の一部を果たして行く予定です。

いよいよ打ち上げは、今年の夏。予定では 7 月 4 日に、鹿児島県内之浦町の射場から打ち上げられます。既に装置は衛星に組付けられ、現在は種々の試験がおこなわれています。様々な問題や限界もありますが、充分に科学的な成果が期待できる装置に仕上っています。まったく個人的な感想ではありますが、大学院生としての全期間をこの装置の開発に費して来ているわけですから、装置に対する思い入れは、とても言葉では言い尽くすことができません。


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