(1)渡米前の準備

(1−1)持ってきて良かったもの。
○日本で作ったクレジットカード。
○国際免許。
○車の整備についての書籍。
○自炊の本。
○英語の教材。
○ノートパソコン。
○おみやげ(扇子)。
○アメリカでの生活のガイド本。
○渡米体験者のホームページをプリントしたもの。
○先輩にもらった留学体験記集。


(1−2)ガイド書籍。

1. 地球の歩き方64ワシントンDC ダイヤモンド社 1640円
2. 地球の歩き方2アメリカ ダイヤモンド社 1740円
3. 地球の歩き方256アメリカ・ドライブ ダイヤモンド社 1473円
4. アメリカ暮しQ&A JTB 1380円
5. アメリカ暮らし入門 大修館書店 1600円
6. アメリカで困らないための本<生活編> ジャパンタイムズ 1553円

私は(1)を持ってきて大変役に立っています。
しかし、地下鉄の路線図ぐらいは、最新版を載せて欲しいとも思います。
(3)で交通規則が分かった。
(4)(5)(6)等のうち、1冊は欲しいところ。

(1−3)ポスト
アメリカでポスドクになるには、次の3通りの方法があると思います。
  1. 学振/海外学振など日本のお金で来る。
    アメリカ側から見ると、無料で働いてくれてるわけで、大抵受け入れてくれる。 特に、普通の学振の場合、自分の好きな研究機関に好きな時に渡航し、 いまいちだと思ったら、帰国してしまうこともできる。 比較的自由にできる反面ほっとかれる可能性もあるそうです。
  2. NRCなど、アメリカでも研究所外部のお金で来る。
    英語の書類審査など、勝手が良く分からないことがある。 自分の立場をアメリカ人に説明しやすいが、日本にいる人には説明しにくい。 クレジットカードなどが作りやすい。
  3. アメリカの研究室内部の研究費で来る。
    お金を出すからには働いてもらわんと、という感じだそうです。 給料はピンキリ。

お金を基準にしているみたいですが、実際そんな感じです。

海外に来る場合、ビザの発行などが遅れて、入国が予定より遅れた、 と言う話は頻繁に聞きます。 3月に博士号を取って、4月から外国、というのは、実際かなり苦しいです。 (私の周りには、7-10月くらいに来た、という人が多い)。 すると、入国までのポジションが問題になるわけすが、 普通の学振の場合、ビザが取れるまで日本で 研究していれば良いわけで、融通が効きます。


(1−4)NRC
私はNational Research Council/Resident Research Associate
という立場でNASA/GSFCに来ています。
これは日本で言う学振みたいな立場です。
NRCは文部省の外郭団体みたいなものか?

私の場合は、NASAの学者を学会で捕まえて自分の研究を聞いてもらったり、
自分の論文を送ったりしたところ、後日、NASA来るためにNRCに応募せーへんか、
と言われたので、NRC の審査を経て渡米しました。
NRCに落ちた場合に研究室内部のお金で呼んでくれたかどうかは、
今となっては分かりません。

NRC/RRA の審査は年3回(2,6,10月)にあります。
通った場合は、「normally」6ヶ月以内にスタートする事になっていますが、
いつ合格発表があるかは明記されていません(3-4ヶ月か?)。
従って、すでに研究業績のある方は、早めに応募されるとよいと思います。
ポスドクも就職している人も応募できます。
応募するためには、受け入れ先の研究機関の科学者にアドバイザーになってもらう ことが必要です。
プロポーザルはアドバイザーと相談して書いて良いのですが、
第一段階の審査はアドバイザーが行います。
NRC の給料は、学振/海外学振と同じくらいです。 研究費がついてなく、旅費が年間$2000と寒いですが、 これは誰かお金を持っている人にサポートしてもらえば良い、 と言う点で他のポスドクと同じです。 あと、行き/帰りの引越し代が出ます。

私はNRC のポスドク研究員です。 蛇足ですが、「NASA/NRC上級研究員」と訳されている経歴は、以下の定義です(NRC/RRA handbook, 1.3 Senior Research Associate):[ A Senior Associate has held the doctoral degree for five or more years at the time of application. The term "senior" does not imply preferential treatment, special support, or additional obligations by a sponsoring laboratory beyond the conditions set forth in this document. ]


(1−5)J-1 ビザ
ポスドクでアメリカに行く場合、ほとんどの人はJ-1 ビザを取得すると思われます。
J-1(学術交流)ビザを日本のアメリカ総領事館で申請するために、
IAP-66という書類が必要で、これは受け入れ側の研究機関によって作成されます。

IAP-66 を送ってくれるようアメリカ側に頼んでから、J-1 ビザを受け取るまでにどれくらい
時間がかかるかは様々で、数ヶ月かかることも多いようです。
旅行業社による代理申請(数万から十数万円するらしい)が最も早い方法です、
と総領事館は案内していますが、私が某旅行会社で聞いたところ、
かえって遅くなることが多いと言われました。
書類に不備があった場合の連絡等に、時間がかかるからだそうです。
申請方法の選択は、家族を連れていくか・将来永住権を申請するか・
代理申請料が会社からでるか、等の事情によるようです。

私は非常に急いでいる旨をNASA/NRCに伝えたところ、一週間後に
IAP-66 がFedexで郵送されて来ました。
また、アメリカ総領事館に直接出向いて申請したところ、
J-1 ビザが1時間程度で交付されました

直接申請するためには、FAX電話から電話をかけて、FAXを受け取ることが必要です。
Q2ダイヤルを用いたシステムであるため、大学からはできませんでした。
FAXを持っている人に頼むことなどが必要です。
直接申請の受付は、大阪・神戸総領事館の場合、週二日だけのようです。
窓口では、日本人の係員が対応してくれますが、問題のあるらしい人は呼び出されて、 アメリカ人の偉いさんらしき人と通訳を通じて交渉していました。
そのアメリカ人が I don't believe --- 等と言ってるのが少し聞こえてきて、
私はびびりまくりました。

J-1 ビザ申請時の注意をNRCの資料から要約します。
1. 移民するのではないことを審査官に理解させること。
アメリカへのビザ申請が拒否されるケースの、原因の95パーセント以上は、
移民の可能性を疑われることによる。
   審査官は、母国での家族や就職の機会や所有物を考察する。
2. 受け入れ先からの招待状を持っていって、自分の立場を分かりやすくすること。
3. 母国に職(Permanent)があることを示す書類を持っていくこと。
4. 旅行者があまりいない場所に赴任する場合は特に、
なぜそんな所に行くかを説明できるよう準備すること。
5. 質疑は数分で終わるので、友達相手に練習すると良い。
6. 審査官は詐欺に慣れている。

私は招待状を持っていきましたが、係員はちらっと見てすぐに返してきました。 特に質疑はありませんでした。

なお、私は7/6から契約であるというIAP-66を持って大使館に6/26に行ったところ、
6/26から有効のビザをもらいました。
J-1 ビザ所有者がNASAなど政府機関で勤務する場合は3年以内に、母国に2年以上帰らなければなりません(2 year rule)が、大学などの場合はその制限は無い場合もあるようです。
この制限があるかどうかは、公式にはビザを受け取るときに分かることになっています。 しかし、パスポートに張ってあるビザに書いてある、2 year rule の記述は間違っていることがあります(と大阪総領事館に電話で言われた)。私の場合は、IAPが not subject(1年目)、subject(2年目)、無記入(3年目)となっているのですが、パスポートのビザは、3つとも not subjectになっていて矛盾しています。


(1−6)荷物の輸送。
私は下宿を引き払って来たので、捨てるもの・実家に送るもの・アメリカに輸送するもの・
自分で持っていくものに分けました。
(実際には持ちきれない荷物を研究室に残し、後輩の世話になった)。
United Airline では、二つの荷物(それぞれ32kg以下)を預けることができ、
さらに二つの手荷物を持ち込めます。
ただし、この辺はあまり厳しくなく、私の荷物の一つは37kgだったがOKだったし、
手荷物をいっぱい持ち込んでいるおばちゃんもいました。

アメリカに輸送する場合は以下の方法があると思われます。
1. 日通などの引っ越し業者。
 値段は高い(船便100kgで15万円ぐらい)が扱いは丁寧、
 さらに到着日が調整できるなど融通が利く。
 もちろん取りに来てくれるが予約が必要。
2. 郵便局。
 値段は安い(船便20kgで1万円)が扱いは悪い。
 どうもアメリカに来てからの扱いが悪いらしい。
 書籍を送るのにいいか。
 船便の他に航空便(20kgで\27000)や両者の中間のSAL便があります。
 基本的に自分で郵便局まで持っていかなければならないが、交渉の余地があるかも。
 気持ち程度の保険がついており、それ以上の保険に入るためには大きな郵便局に行く必要がある。
3. その他の宅急便会社。
 私は京大に出入りしていた寺本運送という業者から航空便をいくつか送りました。
 30kgで3万円くらい。すぐ大学まで取りに来てくれるし、扱いも良い。

アメリカ東海岸に着くのに、航空便は1週間弱、SAL便は2-3週間、船便は1月半程かかるようです。